風俗店員やってました・10

相撲取りは、明るく振舞い、仕事を続けていたが、自分と二人きりになると「ツライ・・・」とぼやいていた。

そろそろ限界だろうなと思っているうちに給料日が来た

当初は手渡しだったが、3ヶ月後ぐらいから銀行振込みになっていた

店長からは明細書だけを受け取った

時給は安いが、拘束時間が長いので、そこそこの金額

ニートだった自分には初めて受け取る20万円前後のお金は新鮮だった

何事もなく、勤務時間終了が近づき遅番従業員を待っていた

すると、新入りが「おはようございます」とやって来てニヤニヤしている

何だろうと思っていると

「相撲取り、飛びましたよ」と一言

彼は相撲取りと一緒の寮に住んでいて、色々知っているようだった

昼頃に通帳に給料が振り込まれているのを確認して、そのまま逃げたらしい

この世界に入って数ヶ月だが、既に入ってきた人間が数十人、飛んでいるので、びっくりはしなかった。

知っている限り、事前に辞めさせて下さいと言って辞めた人間は2、3人程度

しかし、仲の良かった人間が飛ぶのは寂しかった

新入りには、飛ぶと宣言していたので尚更だ

自分の事をあんまり信用してくれていなかったのだろうか

しかし、この業界は去る者は追わず

来る者はたまに拒む程度のようだ

一度、飛んだ者が、再び戻ってきてシレっとしている事も多いらしい

風俗店の店員はそんなものかも知れないなと理解し始めた。

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